「民主党政権とは何だったのか 」 山口二郎他編

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★★岩波書店
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「キーパーソンたちの証言」です。

山口二郎という人、民主党にべったりと思っていましたが、必ずしもそうではなかったようですね。むしろ敬遠されていたのかもしれない。それでも菅首相の辞任草稿は自分が書いたとか記されていました。その程度は食い込んでいた。

インタビューの相手は鳩山由紀夫、菅直人、野田佳彦、岡田克也、片山義博、辻本清美などなど多彩。でもインタビュー時間はあまりとれなかった気配だし、話し手もすべてを正直に言ってるわけでもない。言葉の端々からいろいろ想像するしかないです。

で、一読。うーん、要するにグチャグチャだったんだなあ。幹部同士が心を通じ合っていたわけでもなし。十分に方針を練っていたともいえない。気負いだけの素人集団が、いざとなるとやはり未熟さを露呈してしまった。おまけに異分子の小沢一郎という存在もある。でも小沢をフリーハンドにしてしまったのもトロイカ三人組の責任なんですよね。

シャドーキャビネットというものがあって、それぞれ十分に用意ができていたはずなんですが、実際にはうまく転用することもできなかった。いざ鳩山総理が実現すると、なぜか人事は鳩山一任のような雰囲気になってしまったらしい。そこへ鳩山・小沢のトラブルが加わって、バタバタとした政治運営。やりたいこともできない。

で、菅内閣になってからも時流の読み違いで退潮。その落ち目の流れの中で震災ですから、自民への危機大連合の呼びかけも相手にしてもらえなかった。そして最後の野田政権はいったい何をやりたかったのか。男らしく安倍に呼びかけをして一人芝居で辞任して、もちろんコケにされます。

書かれている内容はそれなりに面白かったですが、読後感はあまり良くないです。ぶざまな数年間だったなあ。