「飛雲城伝説」半村 良

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★★ 講談社
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本棚の奥から発見。やけに分厚い文庫で、これ、読んだ記憶がないです。でも半村良なんて家内も娘も買うわけがないので、やっぱり自分が購入したんでしょうか

ということで通読してみました。

謎の僧が謎の理由で赤子を捨てる。まだ幼い娘が通りかかって拾い上げ、自分が育てると主張する。やがて娘は賢く美しく成長。小さな村の長の娘です。長という表現は違うなあ、えーと、ちょっとした豪族というべきかな。やがて娘は周囲の支持を得て、共同体の指導者になる。

で、近隣の国が攻め込んでくる。隣村と同盟を組む。山の民が助けにくる。詳細は違いますが、そんなふうにいろいろあって合同合併、胡桃の国が誕生。大きくなって扇の国になる

そうした女神伝説のストーリーかと思っていました。女神のおかげで戦のない平和な国を目指していく。それにしても甘っちょろくて、半村さんとしてはあまり上出来の小説ではありません。

・・・と思っていたら、後半になって風呂敷が一気に拡がる。いきなり全国区になり、悪鬼やら古代神やらわらわら出てきて大騒ぎ。えーと、産霊山秘録だったか妖星伝だったか、那須野ケ原あたりを戦場にして巨大な諸仏が戦うようなシーンがありました。あれをバカバカしいほど誇大化した感じです。

後書きで弟子(ということになっている)清水義範が、やけに師匠を持ち上げていますが、はて、そうかなあ。どっちかというと駄作。おまけに未刊だし。風呂敷を拡げすぎて収拾がつかなくなった

あ、念のため。半村良はかなり好きです。初期の水商売ものも良かったし、晩年の鰹節商売の話(すべて辛抱)も好著だったと思います。