荻原浩の小説はたいてい楽しめます。思いつくだけで「四度目の氷河期」「愛しの座敷わらし」「オイアウエ漂流記」「ひまわり事件」「砂の王国」「二千七百の夏と冬」・・・。どれも再読に耐えるものばかり。(「さよならバースディ」は駄作だった。)
「冷蔵庫を抱きしめて」 は短編集でした。比較的軽くて気がきいている。主人公はみんな自信がなく、世間に迎合して生きている。亭主はいつも自分勝手で暴力的なダメ男。自分がそういう男を好きなのか、それともその種の男を引きつける何かを持っているのか。
で、そのままズルズル奈落に落ちていく女もいるし、エイ!と開き直って自分の道を選ぶ女もいる。所詮は小説なんですが、やはり「エイ!」のほうがカタルシスありますね。暴力男と別れるためにボクシングジムに通うお話はなかなか楽しかったです。モリモリ筋肉がついて、パンチに威力がついて、最後は「別れないでくれ・・」と言いながらも卑劣に殴り掛かる男を叩きのめす。スッキリします。
ま、それだけのことですけど。