閻連科(エン レンカ /イエン リエンコー)は中国の作家で、けっこう微妙な内容なので出版するたびに中央に叱られているらしい。でもこの小説でフランツ・カフカ賞受賞。日本でもけっこう売れたとか何かに書いてありました。版元も河出だし。ふーん。
マジック・リアリズムということになっています。ノーベル文学賞とった莫言なんかと同じ系統の作家ですね。こうした手法がいちばん安全なのかもしれない。
お話は河南省の僻村。どうでもいい山の中の集落なので、周囲の県から相手にしてもらえない。住民のほとんどは障害者。というより、付近の障害者がみんなこの村に流れ着いた。ここなら支えあって安心して生きていける。忘れられた村です。
で、野心に燃える県長がレーニンの遺体(最近粗末に扱われているという噂)を招来して町おこししようと思い立つ。特殊技能をもった村の住民を使って絶技団公演を企画、莫大な資金集めをもくろむ。要するに巡回サーカスです。それに対抗する村のカリスマ指導者は(少女時代に)延安長征にも加わったことのある老婆。ドタドタバタバタとストーリーが展開します。
ちなみに中国の「県」は行政的には日本の郡のようなものです。でもさすが中国、81万県民とか野心県長は豪語していました。日本の小さな県にも匹敵する。
うーん、いまいち乗れませんでした。ほんと、莫言と似たような小説なんですが、莫言のねちっこさがない。自然がうまく描写されていない感じがする。人物の描き方もうーん・・・・・。描写の「根っこ」が生硬なのかな。
素晴らしい!と感動する読者がいても不思議はないですが、ワタシ的にはダメでした。