貿易風と偏西風とコリオリの理屈

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前に読んだ本で、いわゆる卓越風の話がありました。ある季節、特定の風が吹きやすいこと。季節風ですね。これを利用してアラビア人とかラピタ人とかは広い海を航海したらしい。

で、これとは別に「恒常風」というのがある。貿易風とか偏西風。しかしこの貿易風、偏西風の風向きが(文系頭には)なかなか理解できません。

老残の豆腐頭にいちばん理解しやすいのは「地球が自転しているから」という理屈です。ある地点にあるもの(空気)は静止しようとしても、地球は東に回転しているので地面が右(東)に移動する。置き去りにされるわけです。したがって見かけとして、風は西に吹く。うん、これは非常にわかりやすい。直感的。貿易風もこれで説明できるかもしれない。

では偏西風はどうして吹くのか。たしか高緯度で西から東に吹いている風です。空気が地球の自転と同じ方向に流れる。というより、自転の動きより早く動いてるわけですね。そうしないと風にならない。なぜだ。

ネットで調べてみました。いろんな解説がありましたが、みんな難しい。要するに地球のコリオリらしいですが、それがすんなり頭には入りません。うーん。

赤道近くで空気は温められて上昇する。上昇した空気は北(もちろん南半球なら南)に流れて、そのまま北極までいけば簡単なんですが、そこまでのパワーはない。中緯度付近の上空で冷やされて下に降りて来る。降りてくる段階で、コリオリによって南西方向へ吹く。うん。なんとなくわかる。

では偏西風はどうなんだ。多くの説明ではやはり「コリオリ力によって東に吹く」んだそうです。??? フィギュアで回転しているときに、手を遠くへ差し出すと回転と反対方向へひっぱられる。手を胸元に縮めると回転方向にひっぱられる。そんな解説もありましたが、イマイチ理解できない。

いろいろ読んで、自分なりに理解したのは下記の理屈でした。

要するに中緯度で空気は下に下降してくるわけです。そのとき(いろんな理屈があるようですが)南に向かって吹き込む動きと、北に向かって吹き込む動きがあるらしい。で、南(赤道方向)に吹き込む風は地球の自転に置いていかれるだろうから、結果的に「南西」への流れになる。うん、これは納得。

しかし北向きに吹き込む場合はどうなのか。こんな場合、風は北向きの力と同時に地球の自転と同じ速度で東にも移動している。その東への速い動きを内蔵したまま、自転速度の遅い北へ動くと、結果的に東へそれていく理屈にもなる。

クルマが2台平行して走っているとして、南のクルマは早い。北のクルマは遅い。平行したとき、南のクルマの窓から北のクルマの窓にまっすぐボールを投げたとしても、そのボールは北のクルマの窓には届かない。たぶん運転席の前方あたりを通過してしまうはずです。うん、けっこういい説明だな。

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貿易風に関しても「自転に置いていかれる」なんて説明ではなく、こっちの理屈のほうがもっともらしい気がします。たぶん、こうした理屈が「コリオリ」なんじゃないかな。







ということで、高緯度の偏西風は南西の風。赤道の北の貿易風は北東の風。航行する舟から見てひらったく表現すれば、西風と東風です。偏西風が蛇行する理屈とか、難しい話もありましたが、それは今回は無視。

だから、帆船で長い渡海をするような場合、わざわざ特定の緯度まで上がって(あるいは下がって)から出航したりするんだろうな、きっと。昔の船乗りは経験的にそのへんを知っていた。

上記、知ってる人からすれば「なんて奇妙な理解なんだ・・」と噴飯ものでしょうが、ご容赦。とにかく自分なりには納得できました。ついでに「偏西風は高緯度の西風、貿易風は低緯度の東風」、きちんと覚えることもできたし。(実は貿易風の風向、いまいち自信がなかった)