たいていの人はさして関心ないでしょうが、パソコンエンジンであるCPUの進化は実は停滞しています。
現状は第6世代と称されるCPUです。しかしその前の第5世代、第4世代と性能の目安である周波数はほとんど違いがない。周波数は1秒間にこなせる仕事の量の目安になりますが、それがもう物理的な 限界にさしかかっているんですね。
仕方がないから内蔵エンジンの数を増やして「i3」「i5」「i7」なんて名称にしている。ちなみに内蔵エンジン数が倍になれば性能も倍になる・・・わけではありません。クルマだったらAのエンジンで車輪をまわし、Bのエンジンがエアコン担当、Cのエンジンがカーナビ・・・というような具合です。それぞれの仕事分担の整合性もとらなければならないし、エンジン1つですべてをまかなうのに比べたら負担は減るでしょうが、たいしたことじゃない。
ま、正直なことを言ってたら商売にならないんで、インテルも少しずつ改良して、新しいCPUを売り出す。それはそれで文句はないです。
ところがここにソフトウェアであるOSが絡んでくる。マイクロソフトはWindows8が芳しくなくて、さっさと次のWindows10を発売した。悪くないOSだという評判もありますが、しかし2世代前のWindows7の出来が非常によかったもんで、せっかくの新Windows10があまり売れていない。「Windows7とかWindows8を使っている人は無料でWindows10に変更できますよ」なんて大サービスやってますが、そんなに乗り換える人が多くないんでしょうね。
で、禁断の作戦に出た。「最新の第6世代CPUパソコンで古いWindows7を使っている人は、2017年までしかサポートしない」と発表。サポートしないというのは「Windows7になにかセキュリティ問題が起きても解決用のソフトは作りません」ということです。ここで問題なのは「古いCPUのパソコンでWindows7を使っている場合は2020年までサポート」と約束していることです。
古いパソコンなら2020年まで解決ソフトを提供する。新しいパソコンなら2017年(来年です)までしか提供しない。意味不明の逆転現象。Windows10を売りたい気持ちはわかるけど、ちょっと無理筋じゃないんですか。
結果として発生したのは、Windows7を気に入っていて、これを使い続けたいと思っているユーザー層の困惑です。CPUってのはハードウェアですから、たぶんそのうち壊れる。壊れたら新しいCPU(それにともなって新しいマザーボード、新しいメモリユニット)を買うことになりますが、その時点で「Windows7を使っていますね。サポートしません。当社は安全を保障しません」という事態になる。
2020年までは大丈夫と思っていたユーザが、あれれ!ということになります。保障期間を3年も縮められてしまった。
「古いOSなんて使うんじゃないよ。さっさとWindows10にしろ!」という、マイクロソフトの強引な方針です。昔からさして好きな会社ではなかったけど、それにしてもアコギだなあ。Windows10、まだ出たばっかりなので互換性とか、いろいろ問題が残っているし、使い勝手もいままでとはかなり違うし。
困った事態ですが、こんな無理筋がすんなり通るんだろうか。猛烈なクレーム(特に業務導入していた会社などから)が予想されます。ほとんどの会社にとって、とりあえず問題なく稼働しているシステムを大幅変更するなんて断固反対でしょう。OSを変更するってのは、大変なんです。
私が現状使用しているのは古いプロセッサで、第2世代であるSandy Bridgeかな。えーと、購入は2012年。ちなみに現在は第6世代まで進化していますが、でも性能そのものに大差はないと思っています。ただ通常、壊れるのはCPUではなくマザーボードです。もしマザーボードが壊れると、非常に困る。迷うでしょうね。