映画「オデッセイ」

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立川で映画「オデッセイ」を見てきました。原題はThe Martian。火星人ですか。夕方から夜の上映だったので終わってから駅横グランデュオの上階で食事。天丼とビール1本。たかが天丼ですが、けっこう胃にこたえる。歳だなあ。


Martian.jpg映画はそこそこは面白かったんですが、なんか分かりにくい部分が多い。説明不足。長いのを上映用に大幅カットしたみたいな雰囲気があります。

ところで火星はどんな環境なのか。自分が持ってる知識はかなりいいかげんです。面白いので試しに書き出してみると・・

赤っぽく乾燥した地表。気温はたぶん夜のマイナス50度、昼は5度(かな)と過酷。重力はそうですね、地球の70%くらい。気圧は低くて、たぶん0.7気圧。大気は炭酸ガスが大部分で微量の酸素とか。地下には水も少量あるらしい。四季がある。そんな雰囲気。以上は適当な想像です。

調べてみたら、実際はかなり違っていました。

まず平均気温はマイナス40度くらい。最高は20度程度で最低はマイナス80度前後かな。大気圧は地球の100分の1以下だし重力は地球の40%。ただし一日の長さは地球とあまり変わらない。

なるほど。宇宙服を着て歩いたら、月面ほどではないにしろけっこうバウンドするでしょうね。機材や体が軽いので、わりあい行動しやすい。宇宙服がやぶれたら即死というほどではないけど、ま、長くはもたない。

その代わりもし火星に猛烈な砂嵐が起きても、威力はたいしたことないでしょう。少なくとも、重い小型宇宙船(母船との連絡用?)が倒れるほどの力はないはずです。だいたいそんな強い暴風があるとしたら、映画の後半で利用する別の連絡船がずーっと無事に立っていたのがおかしい。

ジャガイモの栽培について。火星の砂に排泄物をまぜて使う。うん、なるほど。しかし酷寒の外に放置してあった排泄物を利用するとしたら、有機肥料としてはともかく微生物なんかは死滅してるんじゃないでしょうか。ちょっと不審。(原作では地球から持参の土が少しあったらしい。それなら納得)

水のつくりかた。よくわかりませんでした。なぜ最初は失敗したのか。次になぜ成功できたのか。スタッフの木の十字架を使って燃やしたのは理解できましたが、その後の燃料はどうしたのか。正確な分量の水素と酸素で燃やし続けるのはものすごく難しそう。水素が漏れだしたら超危険。高校の理科実験を思い出しました。

ランドローバーでの遠距離走行。なんか工夫したことはわかりましたが、何をどうしたのか理解できなかった。ソーラーパネルを使いながら走ったのかな。暖房用にプルトニウムを使うというアイデアは「?」でしたが、これは可能らしいですね。プルトニウム238の崩壊熱を電力にする技術は実際に使われているらしい。なるほど。

火星探査の母船はいまどこへ向かって飛んでいるのか。最初のうちはまだ火星を周回しているのかと思っていました。しかしどうも地球へ帰還の途中らしいです。そうそう。そもそも中国のロケットは結局何をしたのか。最後までよく理解できませんでした(実際には、地球をスイングバイする母船に資材を補給する役目だったらしい)。中国、こうして娯楽映画に登場する時代になったんですね。

ローバーの運転席の天井に穴をあけた理由。まったく不明。

火星から飛び立った小型の連絡船はなぜ高度が足りなかったのか。映画では理由がいまいち判明せず。(どうもカバーが破れて空気抵抗が増したのが原因だったらしい)

軌道上の母船の速度を落とすために穴をあけて空気を吹き出させる。うーん、ちょっとマンガになってしまいました。軌道運行の物体、速度を落とすとか高度を調整するのはべらぼうに難度が高い。ほんのちょっとした加減で予想外の変化をするでしょう。

ましてや主人公が宇宙服に穴をあけて推進するってのは、ま、なんというか。そういえば数年前の映画「ゼログラビティ」でもやはり奇天烈なものを使って主人公が宇宙を飛翔していました。空飛ぶ?化器。そういう発想がすきなんだなあ。

とかとか。あちこちけっこう綻びがあったと思いますが、原作ではそのへんをキッチリ説明しているそうです。やはり2時間半に満たない映画で描ききるのは難しいんでしょうね。原作となったアンディ・ウィアーの「火星の人」、ちょっと興味がわきました。