マキャモンのかなり初期の作品らしい。チョクトーインディアン(中南部の農耕部族)の血をひく少年が「神秘の道」の能力に目覚め、絶対悪と戦う・・・というようなストーリー。
ま、あまり傑作とはいえない出来です。少年が成長していく姿は好感を持てるんですが、それと戦う「悪」がちょっと矮小すぎる。おまけに少年の能力というのがあまり主体的ではなく、しょせんは「死者との対話」なんで、カタルシスがない。幽霊鎮め。要するに肉体的にケンカをしても超能力を使った戦闘でも、ほとんど役にたたないわけですね。
ストーリーの組み立てもあまり上手ではない気がします。特に後半。無理している感じ。作者がまだ若かったんでしょうか。
そうそう。作者はアラバマ州で育った人らしいです。そうだったのか。たしかに全編を通じて漂う雰囲気が都会的ではありません。土俗的というか、緑と暑さと湿気と貧しさの感覚。スカした東北部とはまったく違う。ディープサウスの匂いといわれれば、確かにそうだ。
マキャモンは他にも借り出しているんで、さっさと次にとりかかる予定。