◆登場人物。
・女癖の悪い主人・賈璉。
・その若奥様でやり手の熙鳳。
・熙鳳付きの侍女・平児(賈璉のお手付き)。
・鮑二(使用人)の女房=ちょっと色っぽい(たぶん)
誕生日の会で熙鳳は皆に勧められて飲み過ぎ、激しく酩酊。侍女の平児の肩を借りて家の近くまでくると小女たちの動きが不審です。コソコソ妙にあわてている。さては・・・と小女を脅かして(口を裂くとか焼き鏝あてるとか)白状させる。
(1)妻の留守をいいことに亭主の賈璉は鮑二(使用人)の女房を連れ込んでイチャイチャしている。その女房は熙鳳の悪口を言い、ついでに「あんな主人じゃ侍女の平児も可哀相に」と同情するふり。
(2)外で聞いてカッとした熙鳳は思わず平児を殴る。それから扉を蹴破って躍り込み、鮑二の女房をさんざん殴りとばす。
(3)理由もなくいきなり女主人に殴られて怒り心頭の平児は、(他に相手がいないから)鮑二の女房につっかかる。
(4)平児が鮑二の女房につっかかったのを見て、賈璉は(妻の熙鳳には手を出せないので)平児を蹴りつける。
(5)主人筋の賈璉を恐れている平児を見て、熙鳳は腹をたてて平児をさらに殴り、もっと姦婦を殴るように命令する。
(6)進退きわまった平児は頭に血がのぼって思考停止。刀をとって自殺をはかる。
(7)それを見て熙鳳は亭主の賈璉のむなぐらをつかまえてゴンゴンゴン。
(8)わけのわからない状況に逆上した賈璉は、壁の剣をとってスラリと抜く。ヤケッパチ。
(9)あわてて人が集まると、熙鳳は方針変更。ご隠居のところまで逃げてヒーヒー泣き伏す。
(10)妻の後を追って抜き身の剣で乗り込んできた賈璉は母やご隠居様にこっぴどく叱られる。
(11)側杖くって怒り狂っていた平児もその後みんなになだめられて機嫌を直す。
(12)翌日、鮑二の女房が首をつったという知らせ。
(13)鮑二の一族が訴えると言ってくるが、ぜったい慰謝料なんか払うなと言う熙鳳。
(14)うんうんと女房をなだめておいて、もちろん賈璉は鮑二に慰謝料払って穏便にコトを収める。
要するに、夫に手を出すなんて論外なんですね。それに比べると妻を打擲するのはまだしもみたいですが、それでもかなり外聞が悪い。だから相手を責めるんじゃなくて召使を叩いたり殴ったりする。
殴られた召使もあんまり理不尽だと怒りがおさまらない。でも主人筋には文句を言えないから、同格の相手に向かう。
そして、どうであれこうであれ、目上には絶対服従。父や祖父はもちろん、母親や祖母にもぜったい逆らえない。いい歳の息子が厳しい親に死ぬほど叩かれるなんて日常茶飯のようです。