「明仁皇太子エリザベス女王戴冠式列席記」波多野勝

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草思社 ★★★    
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多くの資料を調べて書いたものなんだと思います。たぶん、労作。ただし内容はとくに面白いとか、興味をひくというものではない。

昭和天皇、あるいは今上天皇が欧州へ行くとなるとどれほど大がかりなことになるのか。周囲がどれだけ苦労するのか。ま、そういうことがわかります。たぶん担当の侍従とか外交官とか、このイベントを無事にこなしただけでも一生の仕事として誇れるんでしょうね。

いちばん面白かったのは、当時19歳だった皇太子、この時点で「握ったばかりの鮨」は生涯2コしか食べたことがなかったらしい。「握ったばかり」の意味がいまいち不明ですが、いずれにしても皇太子、握りを食べる機会なんてなかったんだろうな。

そうそう。ドラマにもなった「天皇の料理番」で、ナントカの宮の屋敷に鮨の屋台を設置して、みんなに握りをふるまったことがあると書いてあったような。自慢ふうに書かれていた記憶があります。関係ないけど主厨長アキヤマさんの作る料理、天皇はかなり飽きていたような雰囲気もある。ずーっと同じ人の料理じゃ、ま、そうでしょうね。だから地方巡幸なんかで違う味のものを食べる機会があると、お代わりして倍は食べた。

もう一つ。吉田茂の話術。自由に話すときはそれなりだったが、書かれた原稿を読むときになると、声は小さいしモゴモゴしていたらしい。「オレの力で日英の関係を修復・・」と意気込んでロンドン入りしたものの、うまくいかず、演説でも不評をかった。当時の日英関係はかなり険悪だった。皇太子がタマゴを投げられなかったのはラッキー。