講談社★★
桐野夏生はたいてい面白いですね。えーと、東電OL事件にヒントを得たみたいな「グロテスク」、ユートピア共同体の「ポリティコン」、沖縄の汗と暑さが臭う「メタボラ」。ちょっと重いけど、飽きずに読める。
「猿の見る夢」は困ったオヤジの身勝手というか、思い切って卑小化した中年サラリーマンのお話。欲張りでスケベーでケチで。男だけでなく、ついでに周囲のオバサンもオネーサンもみーんなグイグイとえぐる。情け容赦なく晒す。うん、そうだよなー・・とは思うけど、別に読んで楽しくはないです。だから感想は「★★」。
こんなにオンナの正体を晒せるのは、やはり女性作家ですね。男だとどうしてもこれほどきつくは書ききれません。ちょっと甘くなります。(逆に主人公の中年男、身勝手な奴だけど、なんとなく甘い部分があって、書き手はそんなに嫌ってはいないのかな・・という感じもしします)