何気なく棚から抜き出し。かなり前に買った本です。
読み始めたらけっこう面白くて、すんなり読み切ってしまった。酒見賢一のデビュー作です。これでファンタジーノベル大賞。才能というものでしょうね。
中身はなんというか、ま、中国史伝ふうの匂いのあるファンタジーです。荒唐無稽。後宮に入った少女が好き勝手やって好き勝手に生きる話です。あまりにアホくさくて、つい笑ってしまう。しかし格調というか品はあります。すごーく褒めると脳の柔らかくなった中島敦。実際、作者は他の本ですが中島敦記念賞をとっています。
この作者では「陋巷に在り」の前半4分の1くらいもいいですね。主役は孔子の弟子である顔回です。ただし後半はだんだんアホらしくなる。「泣き虫弱虫諸葛孔明」も悪くはないけど、くどくて疲れます。そういう意味でデビュー作の「後宮小説」は長すぎずスッキリあっけらかんとして素晴らしいです。