地味な版元名からも想像できますが、いかにも本人が自分で書いたような内容です。あちこちに書いたものを集めたのかな。したがって(達者なゴーストライターが上手に構成したものじゃないので)読みやすい話ばかりではない。被害妄想的な印象の悪口もたくさんあるし、手放しでファザーコンプレックスも発露。心から父親を好きだったんだろうな。
ただ、悪い本ではなかったです。ある政治家の娘が書いた「父」と「自分」ですか。父を愛し、父を尊敬し、その父に愛され、ついでに亭主とも仲良く。家族はハリネズミのように丸まって外界と戦う。
この田中真紀子という人、あんまり身近にいると閉口かもしれませんが、離れて見るぶんにはわりあい好きです。いかにも豪腕、口八丁手八丁の印象ですが、あくまで本人の気分は「田中さんちのお嬢さん」のままなんでしょうね。あんがい、しおらしい。