売れてる作家らしいことは知っていますが、読むのは初めて。「とうの」か「ひがしの」かがずーっと疑問でしたが、ようやく解決。ひがしのけいご。ズシッと厚みのある文庫です。
えーと、大阪の下町(かな)で、いきなり殺人事件がおきて、迷宮入り。被害者には暗い目をした男の子がいて、加害者と疑われた女には、綺麗だけど冷たい表情の女の子がいる。で、まもなく少女の母親は死ぬ。
この子供たちは何者???という仕立てですね。それぞれ高校生になり、少女は大学生になり、少年は家を出る。どっちも怪しい雰囲気です。女の子の周辺ではなぜか人が襲われたり死んだりする。闇の世界で生きることを選んだらしい青年は、危険な金儲けに走る。
この小説のいいところは、この二人の少年少女が連絡をとりあわないところです。いかにも共謀している雰囲気なんだけど、でも一緒にいるところを見られることはない。話をすることもない。したかもしれないけど、誰も知らない。
でも、たぶん、二人は子供のころから知り合っている。ひょっとしたら好き合っていたかもしれない。「かもしれない」だらけの小説です。それが、余韻。