「ファインダーズ・キーパーズ」スティーヴン・キング

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文藝春秋 ★★★
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わりあい新しい本のようです。去年の刊行。このキングはまだ生きてるほうで、えーと、最近亡くなったのはルグィンじゃなくて、もう少し前のSF系で、えーと、ほら、脳が豆腐になってる。うん「アンドロメダ病原体」のマイクル・クライトンか。もう死んで16年にもなる。最近とはいえないなあ。

ま、ようするに私はキングとクライトンを混同する癖があるようです。まったく作風も違うのにね。クライトンは亡くなってからも原稿発掘みたいな感じで、ときどき誰かとの共同執筆ふうにして刊行のケースがあるけど、たいていは悲惨です。達者な作家が参加しても、こういう無理な「共著」は失敗します。本来のテーストが違うからなんでしょうね。

ということで本書。えーと、「ミスター・メルセデス」の続編らしいです。「ミスター・メルセデス」ってのはキングがふつうのミステリーに挑戦の新境地という代物で、そこそこ人気はあったのかな。

で、結論。この本はキングとしてもBクラスでした。上下2冊で、舞台をつくる出だしの上巻はそこそこなんだけど、それを収束するはずの下巻がひどい。都合のいいドタバタ活劇で、手に汗にぎってメデタシメデタシ。それでも★3つは、ま、キングの腕でしょうね。少年と少女が登場して、いかにもの雰囲気を作っている。そこへ「ミスター・メルセデス」で登場したらしいデブの引退警官が都合よく出てきてハラハラドキドキ、都合よく事件を解決。いかにもB級、三流の幕引きでした。

ん、そもそもキングって、こういうパターンがけっこう多くないか? ズルズルズルッと盛り上げて、一気に怒濤のカタルシス。なんか釈然としないけど解決してしまう。

「抑えた筆致のキング」「多作で悪いか!のキング」の2人がいるような気もします。今回は書きなぐりの多作キング。