安心印の荻原浩です。面白いにきまっている。この本、当然読んでいるはずと思っていましたが、意外なことに未読だった。
えーと、急に田舎暮らしをする家族の話です。転勤(左遷)で地方に飛ばされた中間管理職の父。ひよわ(と思い込んでいる)息子の健康を心配している母。仲間外れになりかかっている雰囲気の中学生の女の子。サッカーが下手なふつうの小学生の男の子。認知がかかった祖母。なぜか田舎暮らしにロマンチックな夢をもってしまった父は、よりによって築100年超の古民家を契約してしまう。
で、その古くて大きな家には、どうやら「座敷わらし」が居ついているらしい。座敷わらし、特に怪異というほどでもないし、けっこう不器用で可愛げのある存在です。
ま、そういうことです。それぞれの視点から座敷わらしを発見したり接触したり、遊んだり。最後まで座敷わらしの姿を見ることのできない人もいます。望んだらいつでも出没するわけでもないし、いつも見えるとは限らない。
そして男の子には男の子の、女の子には女の子の世界があり、悩みがあったり辛いことがあったり。もちろん夫にも妻にもいろいろ抱えている事情はあります。そうやって田舎の短い夏がすぎていく。
楽しく読みました。