副題は「習近平はいかに権力掌握を進めたか」。昨年の刊行です。
うーん、そうですね。読み終えた感想は「ま、予想通り」といった感じでしょうか。不満をいうと「意外性」「新事実」がほとんどなかった。共青同や上海閥がどうたらして、汚職撲滅運動の本質がどうで、ライバルだった誰がどうなって、忠臣のはずの誰それが見捨てられたとか・・・。
要するに太子党(革命功臣の二代目連中)とはいえ党の下積みから叩き上げた習近平は、省とか県の書記時代に知り合った連中を身近に引き上げてきた。それも「有能だから使う」というシンプルなものではなく、どれだけ自分に忠実で、しかも役にたつかという観点。
誰が出世して誰が出世しないか。ほんと運と才覚ですね。運でも才覚だけでも生きていけない。適当に習近平にゴマを擦る程度じゃだめで、やるなら徹底的に尽くさないといけない。滅私奉公。競争に失敗すれば左遷です。あるいは容疑きせられて(といっても事実やってるけど)逮捕。さすがに昔みたいに理不尽に追放=抹殺にはならない。
このままいくと、どうやら毛沢東・鄧小平に続く第三の独裁者になりそうな気配です。実質的には習近平王朝への道。ただし完全に成功するかどうかは、まだ不確定要素あり(個人的には、李克強首相がいつまで持つか。ひそかな興味をもっています。このまま第二の周恩来になるのか、なりはてるのか、それとも・・・)