泣かせの浅田次郎が筆をふるった短編集。というか、連続ものですね。暮れもおしせまった頃に収監の謎の白髪老囚人。六尺四方にしか聞こえないという「闇がたり」で、自分の半生を語る。この囚人、天切り松といわれた有名な泥棒で、ま、ネズミ小僧の現代版です。ちなみに「天切り」とは、大屋根の瓦を外して穴をあけ、座敷の奥深くから金品を盗み出すという超人技です。
明治の大親分、仕立屋銀次の子分だった目細の安(だったかな)のそのまた子分。大正昭和の頃の東京を舞台に痛快無比の大活躍。義賊が走る。ま、そんな趣向です。
とりあえず2冊を読んでみましたが、ただなんというか、少し若書きとでもいうか。浅田次郎だから面白いことは面白いんですけどね。ちょっと泣かせが弱い。義賊たちが少し自慢しいで鼻について、でしゃばり。よせばいいのにミエをきる。第二巻も三巻もすぐに読んでやろう・・というほどではないです。