副題は「天才たちのカオスな日常」。
著者の奥さんが芸大の美術(美校)にいるので、いろいろ話を聞ける。面白いと思って何気なく編集者と雑談していたら、パクッとくいつかれた。それ、本にしよう。ま、そういう経緯でいろんな学生にインタビューさせてもらったらしい。
全員、ちょっと変わっている。オタクであったり、変質的であったり、奇妙に楽天的であったり。環境に恵まれていて、しかもみんな凄い才能のかたまりです。天才集団。年に数人は行方不明になる。いなくなっちゃうわけです。生きているのか死んでいるのか。何しているのか。誰も不思議には思わない。「天才」の部分だけ除外すれば、50年前の学生なんて、たいていそうだった気もするけど。
まったく浮世離れしているようでもあり、反対にピアノとかバイオリンなんかだと逆に自分をいかに売り出すかが非常に重要で、ものすごく世俗的。美校の教授と学生は友達みたいであり、音校はひたすら先生の教えに従う。邦楽なんかだとほとんど「師匠」と「弟子」です。
面白い本でした。秋にあるという学園祭(藝祭)、見てみたくなります。