労作なんでしょうけど、かなり読みにくい本。「資料」として考えればいいんでしょうね。
えーと。要するに漱石はけっこう高額所得者だった。高級官吏やそこそこ偉いさんの会社員なみです。おまけに株なんかもやってて、稼いでいた。しかし本人はそう思われるのが嫌いで、ずーっと金持ち嫌いで通していた。矛盾しているけど本心ではあるんでしょう。
時代としては作家なんてまったく食えないころです。読書人口がすくなかった。小説家の多くは買い取り(作家側が希望)。でも漱石は別格で、印税もずいぶん高く払ってもらえていた。高いところは30%。ただあくまで「猫」「坊ちゃん」なんか路線の、楽しく読める通俗小説家としてです。陰気でシリアスなのは、実は好かれなかった。
稼いでいたけど、もちろん使ってもいたわけです。で、死後は全集が売れて、家族はなかなか派手に投資したり使ったり、岩波との関係とか、ま、いろいろあったらしい。奥さんと弟子連中の確執は当然ですわな。お互いに悪口をいいあう。
というような内容でした。なるほどね・・・という次第。