新潮社 ★★★
疲れない本を読みたくなって、これ。だいぶ前に本屋大賞だったか、かなり人気になっていましたね。ちなみに著者は「のぼうの城」の人です。それでだいたい見当はつく。
ついつい、てっきり美少女が主人公かと思っていた。この点では完全に騙され。描かれたのはやたら長身で手足が長くて筋肉質、目がするどくやたら大きく、鼻はやけに高くて色黒。ひょろながい派手な猛禽類のような武闘派娘です。娘というか、なんというか。細身で単純思考の巴板額。※1
で、そういう娘が瀬戸内海を大騒ぎする。好敵手と戦う。本願寺に兵糧を入れる。
筆致は完全にマンガです。いまどきのバトルコミック。※2 なんとなく古川日出男の「アラビアの夜の種族」を思い出しました。これもヘンテコな小説で、後味が残る。
※1 巴板額 はともえはんがくと読みます。ともえ御前と板額御前。どっちも男顔負けの豪勇・女傑。若い方はご存じないかもと心配して余計な注釈でした。
※2 小説の後半で泉州侍、泉州海賊がやたら出てきて、ユニークです。泉州というと堺とか岸和田とか。だんじり。男っぽくて、明るくて、あほらしい。