江戸時代の歴史に埋もれた3つのパターンのストーリー。東北の街道筋の商人たちが、寂れた町を存続させるために密かに計画をたて、爪に火をともして銭を貯める。義民、義士ですね。
あるいは世俗を離れ、ひたすら無欲・純粋、学問と詩作に生きた男。すばらしい詩人でもあったらしいけど、書いたものを捨ててしまったんで、詳細不明。
そして幕末の京に生きた風変わり、規格外の尼僧。美人だっただけでなく文武百般、なんでもできた。ゆいいつ下手だった焼物も苦心しているうちに味が出てそれが人気となった。
「無欲」という言い方でいいのかどうか。ちょっと違うような気もします。無私、無欲、奉仕。衣食住、立身出世など個人的な欲望の否定。そんなところでしょうかね。江戸時代あたり、そうした生き方の理想象がたぶんあった。
ま、面白い本でした。あまり資料のない人たちだったらしく、発掘は大変だったようです。
※追記
話のついいでに荻生徂徠が「せこい男」であったことが紹介されています。非常に納得。落語の世界では長屋住まいをして豆腐屋をただ食いで泣かせたこと。また赤穂浪士の切腹処分を具申したんでも有名だったかな。それ以外はよく知らない学者です。