集英社インターナショナル ★★★
「日本はなぜ基地と原発を止められないのか」の矢部宏治の本です。内容は、表題そのまま。
ま、想像した通りですが、要するに日本政府は(伝統的かつ致命的に)外交が下手というか、できないのね。島国だからでしょうか。
そもそもを考えれば天智の白村江の戦いからしてそうです。元寇もそう。問答無用で元の使者を切るってのは、外交でもなんでもない。頼山陽は「相模太郎、胆カメの如し」なんてオベンチャラいってますが。もっと後になると秀吉の能天気な朝鮮遠征ですか。
時間が足りなくて、実は最後まで読み通していません。したがって勝手な推測も入っていますが、理想憲法を作らせたものの朝鮮戦争で事情がガラリと変わり、マッカーサーはたぶん焦った。困ったことをしちゃった・・・と後悔。そこで登場したのがやり手のダレスで、日米安全保障条約の「生みの親」とか言われてるみたいですが海千山千。日本政府はみごとに騙された。いや、騙されたふりをしたのかな。
結果として、米国は日本を(いざとなれば)好きなようにできることになった。基地権の密約、指揮権の密約。指揮権ってのは、いざ戦争になると日本軍は米軍の指揮下に入るという意味です。で、日米お互いバレては困る都合のわるい部分は秘密会として覆ってしまい、まずまずお互い満足の形で終了した。そして与党自民党であっても、ほとんどの政治家はこのへんの深い事情を知らない。(だから鳩山の「知らなかった・・」という奇妙なコメントがでてくる)
ま、そういうことのようですね。そして問題は、以後数十年、政府も外務省も、誰もこの取り決めを根本解決しようとはしていないことでしょう。いや、岸の孫のアベがもっともっと悪い方向に動かしたのかな。ほんとになに考えてんだか。実に気分の悪い本でした。