「年月日」閻連科

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白水社★★★

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閻連科(エンレンカ /イエン リエンコー )は中国では(たぶんノーベル賞の莫言の次くらいに)著名な作家です。莫言と同じように、地にはいつくばって生きる農民を描いた作家です。政府にはかなり睨まれているけど、魯迅賞やらカフカ賞やら、いいろ受賞しています。

この人、ま、たいていは破天荒なヤブレカブレ小説で「愉楽」「炸裂志」などなど。そこにちょっと哀愁が加わった短編集が「黒い豚の毛、白い豚の毛」など。

そしていっそう静謐の度合いが増したのが、私小説ふうの「父を想う」。で、今回の「年月日」はこの延長線でしょうね。農民+飛躍のバイオレンス+過酷な静かさ。

太陽が数珠つなぎにのぼる千年に一度の日照り。村民はみんな避難。しかし村には一人残った老人と盲いた犬がいた。乾ききった大地にはオオカミが群をなし、無数の飢えたネズミが走り、とうもろこしの緑の小さな苗がある。

シンプルで短い小説です。