「古代エジプト 知られざる大英博物館」

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NHK出版★★
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たぶんテレビで放映の番組を書籍化したもの。焦点は「古代エジプト」ではなく、あくまで「大英博物館」です。著者クレジットは「NHK知られざる大英博物館プロジェクト」

ということで、けっこう漫然とした内容です。番組ならそれでもいいんだろうけど、書籍にしてみると散漫になります。急に俳優の堺雅人が登場したり、池澤夏樹が何かしゃべったり。

肝心のエジプト部分では、ナイル川中流(かな?)あたり、庶民の一生を記したパピルスの話が面白かったです。パピルスは見るからに壊れやすそうな紙ですよね。アシみたいな草の髄だったっけ。もろいけど、簡単につくれるから単価はたぶん安い。気軽に消費できたんじゃないかな。

羊皮紙の対極ですね。羊皮紙は長持ちするけど、単価が高い。どうでもいいような内容を書き記すものではない。だから羊皮紙の資料を読んでも、庶民の暮らしはわからない

で、そうした一個人の生涯がわかる雑多なメモ。子供のころから勉強して、期待に答えて書記になり、恋をし、子供をつくり、ファラオの墳墓工事を監督し、いつも座る石座の横に「オレの席だぞ」とラクガキもした。あとを継いだ人(息子か)は書類の始末にこまって、たぶんどこかに放り込んだ。それが幸運にも保存状態がよくてずーっと残った。

当時の庶民、ハリウッド映画みたいに惨めな奴隷生活ではなく、ビール飲んだり肉くったり、親に叱られたり反抗したり。病気になれば医者にかかったり。ま、ふつうの人間らしい生き方です。そういう生活をしながらピラミッドを作ったり石を掘ったり装飾したり。

そういうことがわかるらしいです。