「作家たちの愚かしくも愛すべき中国」高行健 余華 閻連科 飯塚容

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中央公論新社★★

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現代の中国人作家を紹介する本・・・ですね。飯塚容は翻訳家・編者です。

いちばん高齢らしい高行健をのぞけば、よく知っている作家たちです。これにノーベル賞の莫言を入れると、ほぼ完璧。現代中国を代表する作家ということになります。

個人的な好き嫌いでいうと余華は「ほんとうの中国の話をしよう」「血を売る男兄弟 文革篇/開放経済篇」。
閻連科なら「父を想う」「炸裂志」。
本音としては莫言のほうが好みで「転生夢現」か「白檀の刑」か。どっちも傑作。

ということでそこそこ面白く読みました。高行健という人、中国籍を抜けてフランスで本を書いたらしい。傑作といわれるのが霊山で、これがノーベル文学賞。ただし中国政府は完全に無視した。あんな奴。
で、ずーっと知らん顔していた政府だけど、そのうち比較的穏健な莫言も受賞したときは正直に大喜びした。(大昔のパステルナークの受賞辞退騒ぎを思い出します。ちなみに詩人で、ドクトルジバゴの作者。スターリン時代かと思っていたけど調べたらフルシチョフだった)


ついでですが、莫言を体制内の作家というのは少し違うと思います。たしか作家協会かなんかの副会長です。みるからに体制派に映りますが、この副会長ポスト、たしか6人だったか10人だったか ()。このポストを受けさせることで体制サイドは少し安心できる。

ま、作家にとっても無難な位置ですか。体制に100%従う気はないけど、だからといって100%反抗はしない。ほどほど50%とか70%とか。それがオトナというもんでしょ、たぶん。そういう農民的なしぶといチエでしょうね。

それはともかく。図書館の棚に「霊山」はずーっとあった記憶。厚いんで遠慮していた。勇気をだして借り出してみますか。

別件ですが「・・・愚かしくも愛すべき中国」というタイトルはあまり好きになれません。そういう視点からとりあげなくてもいいような気がする。副題の「なぜ、彼らは世界に発信するのか? 」も余計。蛇足。ヘビの足。

2011年、中国作家協会の14名の「副主席」の一人として選出されている。 ノーベル賞受賞はその翌年。