「古事記」池澤夏樹 (翻訳)

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河出書房新社★★★
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例の「池澤夏樹 個人編集」の全集、巻1です。いい本を揃えたシリーズだけど、なぜか読破できないことが多い。また期限までに読み切れないことも多い。文字量が多いだけなのかどうか。

とちくるって古事記なんか借りてしまいました。池澤の新訳なら読めるかな‥と思ったんですが、やはり大変です。どうしたって所詮は古事記ですから。

で、飛ばし飛ばし読みあさって()、つまらないことだけ目についた。まずカミサマとか天皇とか、みんななにかというと美女を探す。探して、求愛して、すぐ寝る。すぐ子供をつくる。他にすることはないのか。ま、大事なことではありますが。

ついでですが、(強引な)求愛の手段として「杼(ひ)とか矢に化けて、ぼーっとしている美女のホト(陰)を突く」がある。なんかこだわっています。急に突かれたほうは困惑するでしょうけど、たいていはそのまま添い寝する。

もうひとつ。戦争とか、征服とか、粛清とか、やたら策を弄します。嘘をつく。だまし討ち()。策といっても非常に幼稚なレベルなんですが、田舎の豪族とかなんとか、シンプルな連中なのですぐだまされる。神の系譜、皇統、ひときわアタマがいいということをアピールしているんだろうか。

脚注がたっぷり入った構成ですが、池澤夏樹の注によると古事記(というか稗田阿礼か)にはクセがあって、人名とか地名とか、かなり作った部分がめだつ。事実だけを伝えるというより、なんか「楽しい歴史ストーリーを(少し脚色して)詠唱しました・・・」という感じでしょうか。


ダレソレのミコトがナントカヒメに生ませたのがアレコレ、コレコレ、ソレソレ・・・。延々と続く。さすがに真面目には追いきれない。旧約にも同じような人名羅列がありましたね。ふるいものの特徴なのかな。

典型的な例が、オウスのミコト(ヤマトタケル)の女装襲撃殺人。騙されたのはカワカミタケルだったっけか。こうした策のパターン、やたら目につきます。というか正々堂々の戦闘のほうが少ない。