坂口安吾エンタメコレクションなるシリーズが刊行されていたようです。春陽堂書店。
春陽堂って、ひょっとして子供のころに見た全集の版元かな。古い蔵の片隅に日本文学全集のようなものがあった。夏休みの午後、こっそり玄関先の壁から鍵(木製の柄。カギ型の鉄製)を外して、ひそひそ通った記憶あり。ひんやりする蔵の二階、高いところの小さな窓から西日がさしていた。
調べてみたら春陽堂には「明治大正文学全集」というシリーズがあったようです。これだろうか。たぶん30巻か40巻くらい。
ま、それはともかく。エンタメコレクションは「現代忍術伝」「盗まれた手紙の話」「女剣士」の3巻構成。で、今回借り出したのは「女剣士 坂口安吾エンタメコレクション<伝奇篇>」。
中身は「桜の森の満開の下」とか「夜長姫と耳男」とか。安吾の代表作でしょうね。何十年ぶりかに再読できました。表題の「女剣士」は初読ですが、ま、現代の山の中に暮らす父親と娘。剣術版巨人の星です。徹底的に激しく鍛える父、応える娘。そこにケチなコソドロが下僕として入り、その三人はやがて・・・・。
なんというか、これぞ坂口安吾としか言いようがない。ただ「エンタメ」と形容するのはちょっと違うような。
そうそう。説話ふうな短編も多いのですが、これらと太宰の「お伽草紙」、どっちが先立ったのかな。非常に似通っています。