産経新聞出版★★
本郷和人という研究者、やたらテレビの歴史番組で見かけます。失礼ながら、一見して偉そうな学者に見えない。よくいえば親しみやすそうな人。サービス精神の固まり。
けっこう面白いんです。発想は実にもっとも。たとえば桶狭間ですね。ほんとうに信長は少数で奇襲したんだろうか。兵力差は2千対2万だったか、ま、本当にそんなに違ってたんだろうか。今川は2万とか2万5千とか、そんなすごい兵力を動員する力があったんだろうか。
理屈でわからなければ試してみればいい(※)。どっかのテレビ局の協力で実験してみた。50人と20人だったかな。アタマに風船のせて、スポンジの剣をもって、広いところで戦う。ただし20人の側は通信機装備。50人は肉声だけで指令をとばす。で、想像どおり通信機装備の20人が圧勝した。集団戦は整然とした指揮が非常に大切なんですね。この50対20というのは本郷センセイが想定した今川と織田の兵力です。
要するに「常識」とは違って、織田はけっこう豊かで兵力もあった。今川は大軍団だったかもしれないけど、あちこちの砦攻め(※)に兵力を分散させていたから、桶狭間には案外兵力がおけなかった。で、漫然と戦った大軍と、必死でつっこんだ精鋭の差が出たのかもしれない。などなど。
おしむらくこの本、本郷センセイがどっかに連載したものなのかな。しかも1回の文字量が少ない。で、セイセイはなんか興味ひきそうなことを言い出しては、次号にまわす。次号でも少し情報出して、そのうち忘れる。しっかりと「なるほど・・」という章がないですね。掘り下げ、深みがない。残念。
ちょっと人気とり、媚びの姿勢の見えるのがいけないですね。もう少し毅然とやってもいいと思うのですが。あるいは、その腰の軽さがセンセイのスタンスなんでしょうかね。
※どっかのボート部員をつかった壇の浦の実験もやったようです。つまり汐の流れと勝敗の関係。結果は予想通り、汐に関係なく入れ換えしても同じ側が勝った。つまり源氏のほうが強いから勝った、ということです。
※鷲津、丸根の砦は落ちたか! ついでだけど、今川(武田もそう)はほんとうに京にのぼって天下に君臨しようと考えていたのか。どうも怪しい。そんな大それた計画ではなかったような気がする。