幻戯書房★★★
「グランド・ミステリー」「雪の階」の奥泉光の戯曲です。地獄シェイクスピア三部作。戯曲という言い方は最近あんまりはやらない。脚本の一種ですか。読んでもらうことを主眼にした脚本。ん? すこし違うか。
大昔、家にあった世界文学全集の類のなかにイプセンとかなんとか、戯曲だけを集めた巻があった気がする。けっこう読めるもんです。そのうちシェイクスピアとか北欧ものとかイタリアオペラものとか、いろいろ手をつける。あっ、井上ひさしのはなぜかダメでした。倉本の分厚い「ライスカレー」脚本は面白かった。
で、奥泉光のコレは実際に演じてもらうことを前提にしたらしい(※)。ただ元来が小説家なので、どうしても読ませるものを書いてしまう。最初は独白だけで40分も要してしまったり、けんめいに削ったのに上演4時間になったり。
中身はリア王、マクベスなどシェイクスピアものの発展です。当然地獄におちたこの連中がどんな具合に生きて(?)いるか。どう反省(?)しているか。悪魔たちやメフィストフェレスとかも登場してワチャワチャやります。地獄にも壁があって、無限の壁積み作業を強いられる罪人たちもいる。でも壁があるってことは、「壁の向こう」もある? 地獄の壁の向こうには何があるのか。
別件ですが、あのマクベスには息子がいた! 花のような10歳のマミリアス。ん? 本当にいたっけか。
そうそう。無事に生きながらえた版のロミオとジュリエットも登場します。可哀相に。
※知ってる俳優では、何回目かのマクベスの公演だったか、吉田鋼太郎の名前があったらしい。