朝日新聞出版★★★
この作者、たぶん読んだことがある気がするけど、はて、何だったっけ。
思い出せなくて調べたら「最悪の将軍」でした。徳川綱吉の話。けっこう通説をひっくり返して、面白い本でした。ひっくり返すけど、無茶ではない。要はセンスですね。
そうそう。テレビで見た「眩~北斎の娘~」も、原作はこの人の本。あれもよく調べていました。役者(宮﨑あおい、長塚京三、松田龍平)も良かったけど。
で、この本は幕末長崎の茶商、大浦屋の慶の話です。先細りの油商の跡継ぎ娘だったけど気に入らない婿を叩き出し、オランダ人相手に茶の輸出を始める。もちろん簡単な話ではなく、苦労に苦労をかさねたけど、結果的には大成功。豪商となる。
で、長崎といえば海援隊の連中。これがワサワサと出入りしていて、若い隊士に背中を流させたとか噂もたつ。竜馬とか後藤とか岩崎とかグラバーとか、おなじみの面々とも付き合いがあるし、しょっちゅう金をたかられる。
で、御一新。ここで悪質な詐欺にまきこまれて破産寸前。なんとか無体な借金を払い終えて、元大統領グラントの訪日の際には功労者として晩餐会に呼ばれる。すごい栄誉みたいですが、政府とか役人とか、実はたいして感謝もしていません。ま、みんなそういう扱いだったんでしょうね。
けっこう面白く読めました。