「長崎ぶらぶら節」なかにし礼

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nagasakiburabura.jpg新潮文庫★★★

本棚に発見。妻が買ったのか娘が置いていったのか。

なかにし礼は「兄弟」が知られているようですが、こんなものも書いてたんだ。

ぶらぶら節、念のためにネットで探して聴いてみましたが、うーん、良さげではあるもののよくわからん。ま、芸者衆が座敷か舞台でうたうような、たぶん艶っぽい唄です。

ともかく。長崎ちかくの貧村で生まれた小娘は丸山の置屋に奉公。美人じゃなかったのでせっせと唄や踊りやに励む。請われれば女相撲もとるし、土俵入もする。狭い家にも土俵をしつらえて、その中央で寝る。

で、50歳も近くなってからいいオトコを発見。これも男前で学者で放蕩者で理想家で身上潰し。体の関係は無理だったけど、いっしょになって長崎の古い唄を発見しようとする。で、ついに発掘したのが「ぶらぶら節」。西条八十やらにも感銘を与え、東京のレコード会社で吹き込み。長崎丸山の名物芸者です。そういったお話。なかなかよかったです。

そうそう。なかにしには「赤い月」というのもあるらしい。満州からの引き上げ体験でしょう。そのうち、読むかもしれません。同じような原体験で板東英二の「赤い手」というのもありますが、これも良い本です。あんまり見かけないけど、おすすめ(上下本。下巻は勧めません)。