KADOKAWA ★★★
池澤夏樹の小説。好きなんだけど、なぜか読みとおせない(※)。読了できたのはいちばん最初に出会った「マシアス・ギリの失脚」と「ワカタケル」くらいじゃないかな。あとはみーんな全滅。
で、この本。ま、「ワカタケル」の系統ですね。遣唐使として大陸にわたった阿部一族の青年。壬申の乱。貴人はキトラ古墳らしきところに埋葬され、それを盗掘しようとする石堀りのオトコたち。出現した謎の巨大イノシシ。捨てられた剣と鏡。
そして現代では博物館で仕事をする気弱なウイグルの女性学者。高校時代は豪腕投手として鳴らした地方大学の助教授(・・だったかな、講師ではなかったような気がするけど)。そして元刑事だった郵便局員は島で退屈している。
で、北京中南海のオモワクやら日本の公安やら、怪しげな中国人バイヤーやら。ま、オトギバナシでもあり、国際スパイ小説でもあり。それでも池澤夏樹ですから、あんまり切迫はしません。なんかのんびりしている。
なんとなく適当に、楽しく読みました。
※池澤のエッセイ、評論のたぐいはかなり好きです。理系ふうの部分がいい。
※なんか匂わせるような記述があちこちあって「?」だったけど、やっぱり前作があったらしい。「