NHK BSの「フロンティア」という新番組。なんとなく録画したのですが、なかなか面白かったです。タイトルは「日本人とは何者なのか」。
ずーっと追ってきたわけではないですが、たぶんこれまでの常識ではフィリピン、台湾あたりを通過して北上してきた海の民がいた。これが列島に定着して縄文。青森の三内丸山とか、けっこう豊かに暮らしていたようです 。
で、ここに北東アジアから流入したのが弥生人。たぶん鉄器とか農耕なんかをもたらした。縄文人が喜んだのかは不明ですが、わりあい穏便に混在・混血したらしい。それが日本人になった。
ま、そういうのがこれまでの「常識」でした。ところが最新のDNA分析では違うという。化石を使った古代DNA解析というんですか、この分野が非常に進歩してきているんですね。
東南アジア、タイの奥地に「マニ族」という少数民族がいるそうです。ずーっと孤立して暮らしてきたので古いDNAをたぶん維持している。で、このマニ族のDNAを調べてみると、意外なことに縄文人のそれと非常に近い。べらぼうに似ているらしいです。遠い先祖がたぶん共通。
どういうことなのか。つまり東アフリカから出てきた人類の始祖、一部は欧州へ北上した。一部は東へ進んだ。東進組はさらに分裂して、そこから北へ進んだ連中はおそらく中央アジアからシベリアまで到達。繋がっていたベーリング海峡も渡ったのかな。南へ行った連中はインドを経て東南アジアへ。ここまでは、ま、常識ですね。
で、問題は東南アジア組です。少数は海をわたってオーストラリアまで行ったともいいますが、別の一派は延々海沿いに北へ、日本列島まで進出した (※)。つまり、これが縄文人です。途中で交雑しないで、かなり純粋な形で列島に定住したらしい。定住したのはざっと1000人だそうです。
で、その1000人は栄え栄えて、楽しく狩猟採集で暮らしていたようなんですが、そこに朝鮮半島(たぶん)経由で北東系のアジア人がやってきた。まざって日本人誕生ですね。
ところが新事実。現代日本人のDNAサンプルを調べてみると、意外なことに「縄文・弥生」のDNAはぜんたいの40%くらいしかない。意外に少ないです。のこりの60%は違う系統になる。え?と調べてみると東アジアのあちこち、かなり広い範囲にわたるDNA散布らしい。だいたいイメージとしては少し周辺をふくめた中国全土かな。チベットやら四川やら広東やら北京雲南やら(※)。
たぶん古墳時代でしょう(※)、こうした広範囲のDNAがずーっと流入し続けていた。弥生人が一時期にダダダッと来て、それでオシマイではないんですね。けっこうな期間、流入が継続していた。たぶん。
つまり、ものすごく大雑把に表現すると、日本人のDNA構成は
「古代東南アジア系 2割」+「北東アジア系 2割」+「東アジア全体から6割」
そういうことだったんだぁ。かなり意外な事実を伝える番組でした。
※どこにも行かないで残った連中はいろいろ紛れて現在の東南アジアの民になった。
※「北京」は北方すぎておかしいですね。雲南あたりなら、ま、妥当かな。適当だけど。
※古墳時代ってのは、あんまり調べられていない。禁忌だったんですかね。ほとんとわかっていない時代らしい。