世田谷のトシヨリ

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何週か前、たしか週刊現代の広告で『なぜ「世田谷じいさん」はすぐ怒鳴るのか』という見出しを見かけて、つい笑ってしまいました。

setagayajiisan.jpgそうなんだよな、なぜか『世田谷』のじいさんです。これがナントカ県の字狸熊村だったら何もおかしくない。山の畑で爺さんが汗拭きながら腹を立てている。江東区でもダメ。路地の片隅、朝顔プランターの横で作務衣のオヤジが如雨露持って怒っている。当たり前すぎます。

世田谷ですからね。けっこうな住宅街ということになっています。二子玉川とか成城とか三軒茶屋とか。所ジョージが優雅に遊んでいる(はず。たぶん。世田谷ベース)もここです。さらに、洒落た青山や赤坂でないのもツボ。

あくまでイメージですが、シニア住民はそこそこ企業の部長クラスだったとか、某私立大の教授だったとか。引退したけど、ま、なんとか食うに困らない程度の年金。付近は小公園があって、気の利いたコーヒー店があったり、よく知らんけど小さな本屋も少しは残っているかな。なんとなく散歩してみたいエリアです。

ま、そういう街で、禿げ頭にパナマかぶった老紳士がどなっている。ステッキ持った上品な白髪が顔を赤くしている。だから絵になる。思い描いた老後とは違うんですね、きっと。

店員の応対が気に入らない。ふとフライドチキン4本買おうとしただけなのに、セルフレジに追いやられる。カウンターの中の店員はアクビしてるじゃないか。以前は「ナゲットはいかがですか」「店内でお召し上がりですか」「ナプキンは何枚・・」の饒舌決まりセリフに腹を立てたけど(トシヨリが一人で4本食うと思うか!)これはこれでイライラする。焦っても指が乾燥して、タッチ画面が反応しない。後ろに人がならぶ。

それなら・・と小ぎれいで新しそうな蕎麦屋に入ると、ここもテーブルにタブレットが置いてある。回転寿司じゃないぞ。蕎麦までデシタル注文なのか・・・。はい。

家にいてもダメ。奥さんが嫌がる。新聞は腰が引けているしテレビはつまらない。どこのチャンネルもアホ面タレントが大声出している。ニュースは底が浅くて忖度だらけで、一日に何回も女子アナが訂正で頭を下げる。コメンテーターがまだしゃべっているのに、いきなり画面はCMに切り替わる。そのCMがつまらん。保険と葬儀と転職と通販と、あとはナンだ? ミライさんとつむぐくんがどうしたって?

そもそもいつから保険は「入れていただくもの」になったんだろ。「まあ80歳でも入れるの? すごい・・」とか。月々たった3000円、でもなんと6000円、9000円のコースもあって嬉しいわ。明日は洗濯日和ですが午前中がおすすめで、外出の際は携帯傘を忘れずに。で、外はパリパリ、中はジューシー、トローりと肉汁、舌鼓。

てなことでしょうか()。優雅そうなトシヨリ、長閑そうなニッポンの住宅街で、実は腹を立てている。こんなはずじゃなかった気がする・・・。

要旨冒頭を斜め読みしてみたら、実際の週刊誌の内容は少し違っていたようで、内容はもっとストレートでした。つまらん。