角川書店★★★★
購入合計が3500円に足りないので(配送料をケチって)追加で文庫を一冊購入。なんとなく書名を記憶していたわけです。田辺聖子の本なら読めるでしょう。
なるほど。なかなか面白いです。スムーズに読める。あんまりねっとりしていない。新幹線の中で一気に読みました。
中身は清少納言の「お話」です。小説というべきなのかな。清少納言がそれほど厭味な女ではなく、といって美化しすぎでもなく。ほどほど。このへんが田辺聖子です。
かねてNHK大河で変だなあと思っていましたが、ほんとうに宮中などでは夜中が社交時間帯なんですね(※)。夜の八時なんかに平気で人がくる。女房たちの局にもちょっと気の利いた貴公子が、やたら遊びに顔を出す。しゃべったりゲームしたり。そのまま明け方まで居すわったり。几帳の陰で居眠りしたり。そうだったんだ。
また、通常はみんな牛車で行き来です。豪華な牛車、貧相な牛車。どっちにしても牛車(※)。たまには玄関で待たされていた下人たちが文句をいう。はやく牛車を出したいんだけど・・・。いいかげんにしてくれないかなあ。夜があける。
で、最後のほうで発覚。これは「上巻」だったんだあ。例の法王への射かけ事件(長徳の変)の前あたりでオシマイです。道長は政権をとりました。続きはまた下巻を買った後で・・。はて、いつ買えるのやら。
※文中、大殿油(おほとなぶら)という言葉がやたら出てきます。よほど宮中の灯の明るさを強調したかったのかな。
※受領階級の女性が供一人だけつれて街中をテクテク歩くなんてシーンはありません。
ついでに、高貴な独身女性たちが顔をさらして、若い独身貴族たちの「打球」見物に興じるなんてのもありません。