文藝春秋★★★
久しぶりに長いのを読了。読了といってもスティーヴン・キングです。上下二巻、長いけれどもそんなに濃くはないです。
えーと、12歳の少年が誘拐されます。12歳ながらMITとドコとか、東部の二つの大学に入学を認められている。天才です。ようやく(凡人に遠慮せずに)充実した日々がおくられる・・・と楽しい夢を見ていたら、とつぜん拘置所か寮か病院か・・というような施設の一室で目覚める。
その施設にいるのはみんなTPかTK。つまれテレパシーかテレキネシス。超能力です。ただしマンガや映画みたいな強い力ではなく、軽いものをちょっと動かせるとか、ぼんやり気持ちを察するとか気を送るとか、初歩的なものですね。ただ連中が特殊な注射をしたりナニヤラすることで能力を高められるらしい。ここの医師、看護士、看守連中、暴力的です。大切な商品であるはずの少年少女たちを殴ったり、半殺しにしたり。
能力を高めてどうするのか。それがこの小説の芯ですね。つまりは巨大な悪の組織と戦う少年少女たち。非力なのか。潜在力はあるのか。男の子もいる。女の子もいる。暴力と、友情と、かすかな異性愛。うん。いかにもキングです。
で、そうか、まだ元気だったんだ・・と驚いたスティーヴン・キングではありますが、やはり多少の劣化はしているような感じです。分厚い上下巻を厭きさせるほどではない。でもページを繰るのがもどかしい、というほどでもない。
後半の三分の一くらいは、少しダレた感もあり。もちろん、それでも楽しめるけど。キング、何歳になったんだ? ん、77か・・。