河出書房新社★★★
タイトルからすると一時期氾濫した「小説作法」の類かと想像しそうですが、ま、思い切ってスカしたなかにし礼の半生紀(※)、あるいは成功物語、あるいは本当に「作詩のノウハウ」。
キャッチは「天才作詩家が初めて説き明かす、作詩術の奥義と秘儀」です。
・・・などどは書きましたが、なかなか面白い。で、たしかに天才ではあっただろうけど、天才は天才なりに苦労していた。曲テーマを与えられてから実際に書くまで苦悶、頭の中のいろいろ、グチャグチャ、推移、自問自答、推敲。具体的でいいです。そうか、そういうふうに考えて詩になるのか(※)。
ただし、その「流れ」が本当かどうかはわからない。なにしろ天才なかにし礼、たぶん見栄もはったりも存分にあるはず。それを割り引いてもけっこう楽しめます。書き出された数多い自作歌詞を眺めるだけでも、嬉しい。
※半生どころか、これ、新聞連載だったようでまだ若い。たぶん40歳前後じゃなかったのかな。
※本人は「作詩家」。詩と詞。どうして芸能マスコミは「作詞家」などど軽視するんだろうとご不満です。